猿楽橋と東京府のマンホール
渋谷区内にある並木橋交差点は明治通り(東京都市計画道路幹線街路環状第5号線・東京都道305号芝新宿王子線)と八幡通り(東京都市計画道路幹線街路補助線街路第20号線・渋谷区特別区道第873号路線)の交差点です。
渋谷駅方面から来て交差点を右折すると、渋谷川にかかる新並木橋を渡り、東急東横線のガードを潜ります。左側の写真は、東横線ガードの西側から並木橋交差点方面を見たもので、ガードの上を走っているのは横浜高速鉄道のY512Fです。
このガードを潜ると上り坂になりJR山手線と埼京線を跨ぎます。この跨線橋が猿楽橋です。右側の写真は猿楽橋を西側の側道から眺めたものです。橋桁はリベットが多用された鉄骨造で、親柱には鉄骨製の街灯が立っています。東詰のアプローチ部と西詰の高架部はコンクリート擁壁となっています。
猿楽橋西詰の高架部の歩道上に東京府のマンホールが3個現存しています。また東詰の側道と西詰の側道が橋の下を潜る所にも東京府のマンホールが残っています。このデザインのマンホールは渋谷区神泉町の旧山手通り(東京都市計画道路幹線街路補助線街路第25号線・東京都道317号環状六号線)沿いにも現存しています。
真ん中のマークは昭和6年に制定された東京府の府章で、東京市と統合されて東京都が誕生した昭和18年まで使われていました。
猿楽橋の建設年は判明していませんが、橋の構造から戦前製のものである可能性があります。そして付近に東京府のマンホールがあることから、昭和10年前後の建設と推測できます。
猿楽橋は昭和9年(1934年)7月に竣工しています。それと同時にこれらのマンホールも設置されたと考えられます。
【参考文献】
渋谷区教育委員会 『渋谷の橋』 平成8年9月30日
【関連記事】
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