千駄ヶ谷町の燈孔
渋谷区神宮前2丁目の住宅街の中に東京府が設置したと推測される千駄ヶ谷町が設置した燈孔蓋が1枚と燈孔の跡が4個残されています。
燈孔とは管渠内の点検を行う時に照明用ランプを吊り下げるための孔で、ほとんどが戦前に設置されています。この燈孔は縁石はありますが、蓋には紋章がありません。また燈孔跡の方は縁石だけが残されており、孔の部分はアスファルトで埋められています。
この場所は穏田川の支流である代々木川の流路でした。代々木川の水源地は渋谷区代々木3丁目の京王電鉄天神橋変電所の南側で、文化服装学院付近で玉川上水からの分水を取り込んでいました。そして小田急線南新宿駅やJR山手線裏参道ガード付近を流れ、原宿橋の下流で渋谷川に合流していました。
暗渠化は昭和9年(1934年)から昭和11年(1936年)にかけての穏田川の改修工事と同時に行われたようで、陸軍が昭和11年6月に撮影した航空写真でも暗渠化されているように読み取れます。昭和3年(1928年)から昭和7年(1932年)にかけて千駄ヶ谷町によって行われました。この暗渠は東京都下水道局の下水道台帳に幅2.45m、高1.55mのRC構造の矩形渠として記載されています。
【参考文献】
田原光泰 『「春の小川」はなぜ消えたか 渋谷川にみる都市河川の歴史』 之潮 2011年5月25日
【関連記事】
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【2011.09.25追記】
記事タイトルを「東京府の燈孔」より変更し、記事と参考文献を加筆・修正しました。
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