内務省の雨水枡
府中市美好町3丁目の旧甲州街道(東京都道229号府中調布線)の京王線府中5号踏切そばに、内務省の街渠雨水枡が1つだけ現存しています。
この蓋は、渋谷区東1丁目の八幡通り(東京都市計画道路幹線街路補助線街路第20号線)沿いにある東京府の雨水枡蓋に似ていて、中央部分には内務省の紋章があります。この付近には内務省の紋章が入ったマンホールも幾つか残っています。
前回の記事で述べましたが、旧甲州街道の分倍河原付近の改修工事は昭和6年度(1931年度)に政府の直轄工事として行われています。
ところが調布近辺の甲州街道の整備について、『調布の戰前』に以下のような記述があります。
当時の甲州街道は砂利道で、特に瀧坂は急坂で難儀したといいます。それが新道に付け替えられ、舗装されたのは昭和になり多摩御陵ができて間もない頃です。
甲州街道の舗装は昭和七年か八年で、土地の地主も、借りている人も、間口に合わせて費用の割り当てがあった。側溝も関係者で負担した。(仙川)
昭和五年に不景気の失業対策で舗装した。ところが一戸二十円から三十円の負担金を取られた。(小島町)
工事は昭和3年(1928年)から昭和8年(1933年)頃にかけて行われたようです。その工事費は国費・府費だけで全額賄ったのではなく、沿道住民から負担金と称して徴収していたことが伺えます。分倍河原付近の工事でも同様な負担金徴収があったかもしれません。
【参考文献】
調布の戦前編集委員会 『調布の戰前』 平成20年3月
| 固定リンク
「 マンホール・標石」カテゴリの記事
- 東京消防庁の初期型マンホール(2024.02.22)
- 松原町の逓信省境界標(2023.11.14)
- 千住の江戸川上水町村組合水止栓(2023.10.16)
- 小川町3丁目の看板建築と阻水弇(2023.04.24)
- 駒澤町大字上馬(2023.02.27)