東大前駅跡
駅は島ホーム1面2線構造で、駅舎はホーム端にあり、改札口は踏切道に面していました。
昭和10年(1935年)7月17日に東京帝國大學農學部が東京市本鄕區に移転しました。その跡地は、本鄕區向ヶ岡彌生町から移転の第一高等學校、深川區越中島町から移転の航空研究所、この地に残った農學部附属農業敎員養成所、前田侯爵邸に分割されました。
このうち農業敎員養成所は、昭和12年(1937年)12月4日に東京農業敎育專門學校として独立しました。また農學部の全面移転に先立ち、前田侯爵邸が昭和4年(1929年)5月に竣工、昭和6年(1931年)5月11日に昭和天皇臨幸の下、航空研究所の開所式が挙行されました。
東駒場駅は第一高等學校の最寄駅となったことで、昭和10年(1935年)8月10日に一高前駅に改称されました。
昭和24年(1949年)5月31日に東京大学教養学部と東京教育大学が開設されました。6月30日に第一高等學校が東京大学第一高等学校になりましたが、昭和25年(1950年)3月24日をもって閉校となりました。東京農業敎育專門學校は東京教育大学農学部になりました。
このため昭和26年(1951年)12月1日、東大前駅に改称されました。そして昭和40年(1965年)7月11日、駅間距離が400mしかない駒場駅と東大前駅を統合して駒場東大前駅(渋谷起点1.6km)が開業したことにより廃駅になりました。
かつての下り線であった神泉2号踏切から駒場東大前駅東口に至る側道に駅広告看板が残っています。また踏切の渋谷方盛土部が南側に膨らんでいる部分が下り線のアプローチ部でした。ホームおよび駅舎は現在の下り線になっていますので、その遺構は残っていません。
【参考文献】
東京帝國大學 『東京帝國大學五十年史』 昭和7年11月20日
東京帝國大學 『東京帝國大學一覽 從大正十二年至大正十三年』 大正13年8月15日
東京帝國大學 『東京帝國大學要覽 昭和十年度』 昭和10年7月5日
第一高等學校 『第一高等學校六十年史』 昭和14年3月31日
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