謎の標石
井の頭線の駒場東大前1号踏切(駒東1号踏切)の北側脇に謎の境界標があります。
標石は線路脇の柵の土台コンクリートに半分埋まっており、見えている3面には、T、K、Dの文字がそれぞれ彫られています。もしかしたら埋まっている面にも別の文字が彫られているかもしれません。設置位置から井の頭線の線路用地の土地境界標と考えられます。
この3文字をローマ字表記の略称とみなして、この当りで関係していた会社、学校に無理やり当てはめてみます。
- Teito Dentetsu Kabusikigaisha(帝都電鐵株式會社)
- Tokyo Kyuko Dentetsu(東京急行電鉄)
- Keio Teito Dentetsu(京王帝都電鉄)
- TeiKoku Daigaku(帝國大學)
- ToKyo Daigaku(東京大学)
- Tokyo Kyoiku Daigaku(東京教育大学)
しかし、帝都電鐵がアルファベットの略称を使っていたという記録はなく、東京急行電鉄の略称は"TKK"、京王帝都電鉄の略称は"KTR"でした。帝國大學の境界標には「帝國大學」か「帝大」、東京大学のものには「東大」の文字が彫られています。東京教育大学は井の頭線の南側にありましたので、ここに標石を設置する理由が見出せません。
元々、この一帯は東京帝國大學農學部の土地でしたが、澁谷線(井の頭線)の駅・線路用地として帝都電鐵に払い下げられています。そして昭和8年8月1日に澁谷線が開通し、この傍に西駒場駅が設置されましたが、踏切は設けられませんでした。この標石を誰が何時設置したのかは不明です。
【参考文献】
東京帝國大學 『東京帝國大學一覽 昭和十一年度』 昭和11年7月15日
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