川世線原型鉄塔の解体と大蔵給水所
東京電力千成開閉塔の構内に建っている川世線の原型鉄塔であるNo.38鉄塔の建替工事が現在行われています。
まず、No.38鉄塔の隣に「川世線仮38」鉄塔が建てられ、川世線2回線と千南線2回線の送電線が仮鉄塔に移設されました。仮鉄塔は耐張型鉄塔で、その高さはNo.38鉄塔より10mほど高くなっています。
そして、昭和15年(1940年)12月から71年半の長きに亙ってこの地に建っていたNo.38鉄塔が6月14日に解体されてしまいました。また千成開閉塔構内に建っていた成城線No.1鉄塔はすでに解体・撤去されています。
かつて成城線No.1鉄塔で千南線より分岐していた成城線(~東京電力成城変電所)、小田急喜多見線(~小田急電鉄喜多見基地)、大蔵給水線(~東京都水道局大蔵給水所)は、1月の時点で既にNo.38鉄塔での分岐に切り替えられていました。これらの送電線の分岐もNo.38仮鉄塔で千南線から分岐するようになりました。
大蔵給水線の終端である東京都水道局大蔵給水所の前身は、日本水道株式會社東山野給水場でした。日本水道は昭和7年(1932年)10月17日に世田谷區の一部地域(旧荏原郡世田ヶ谷町、駒澤町)に給水を開始した民間企業で、六郷用水と多摩川旧河道の伏流水を水源としていました。浄水場は東京府北多摩郡狛江村大字和泉2550に、給水場は北多摩郡砧村大字大藏字東山野1730-3(→東京市世田谷區大藏町1730-3)に作られました。
浄水場と給水場の電力は京王電気軌道から3.3kVで受電していました。契約電力は浄水場が100kW、給水場が67kWで、昭和7年10月16日に電力設備の使用が認可されました。当初は澁谷町水道淨水場と同じく下高井戸からの送電、昭和13年(1938年)5月12日の京王電軌成城変電所の竣工後は成城変電所からの送電に切り替えられたと考えられます。
昭和20年(1945年)4月1日、日本水道は東京都水道局に買収されました。狛江浄水場は昭和44年(1969年)3月31日に廃止され、その跡地に狛江市立狛江第三中学校が昭和48年(1973年)4月1日に開校しました。
大蔵給水所の標高は53.60mで、世田谷区の最高峰です。
【参考文献】
東京市役所 『隣接五郡に於ける上水道に關する調査』 昭和7年6月
東京地方遞信局 『管内電氣事業要覧 第拾参回』 電氣協會關東支部 昭和14年3月25日
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