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沼部隧道に残る東京府のマンホール

丸子橋は多摩川に架かる中原街道(東京都道・神奈川県道2号東京丸子横浜線・東京都市計画道路幹線街路放射第2号線)の橋です。

風景

中原街道は中世以前から存在する古東海道で、丸子の渡しで多摩川を渡っていました。このときの道筋は現在の東急多摩川線沼部駅西側の踏切道で、駅の北には崖線を上る桜坂があります。丸子の渡しは丸子橋の下流約200mの地点にありました。

時代が下り大正末期には、

從來多摩川には一號國道即ち京濱國道の六鄕橋と二子橋との間には約12粁に渡つて道路橋がなかつたが、近時京濱間の交通量頓に繁激を加へ、一の京濱國道を以てしては到底需要に應じきれぬ趨勢

mark

となってきました。このため東京府道第十九號下大崎川和線(都市計畫事業線放射20號路線)の街路整備事業の一環として丸子橋の架橋が昭和2年(1927年)に計画され、昭和5年(1930年)10月から架橋のための地質調査が開始されました。工事は昭和7年(1932年)10月に着工、約2年半かけて昭和10年(1935年)3月に竣工しました。そして昭和10年(1935年)5月11日に開通式が挙行されました。

橋

橋

橋

橋

老朽化と増大する交通需要に対応するため、平成4年度(1992年度)から新しい橋への架け替え工事が行われ、平成12年(2000年)6月10日に現在の橋が開通しました。初代丸子橋の親柱は橋の袂に保存されています。

丸子橋の取付道路は多摩川の堤防を越えるために築堤構造となっています。

東京側には堤内に目蒲電鐵の軌道あり、この地點は支間9米615の鋼鈑桁の跨線橋とし、之と併行して五反田寄舊73號線の交叉する所に圓形の隧道を作り用水路を之に併用した。

東急1000系

橋

橋

この跨線橋が東急多摩川線多摩川-沼部間にある沼部橋です。この橋も新しい橋に架け替えられています。親柱には「ぬまべばー」と読めてしまう銘板が埋め込まれています。

上記引用文中の圓形の隧道は沼部隧道、用水路は六郷用水のことです。また舊73號線は東京府道第七十三號調布川崎線、即ち現在の多摩堤通り(東京都道11号大田調布線・東京都市計画道路幹線街路補助線街路第125号線)の旧道です。

隧道

隧道

沼部隧道の前後で道路が用水跡に横から覆い被さる形で取り付けられ、隧道内はグラノリシックコンクリート舗装(膠石舗装)となっています。この隧道は舊73號線道路と六郷用水の暗渠の二層構造であると推測できます。

風景

manhole

沼部隧道内に東京府のマンホールが2つ存在しています。東京市型と呼ばれるJIS標準模様では同心円の分割数は内側から8-16-14-28ですが、この蓋では8-8-12-24になっています。蓋の中央部には縦線が太い東京府章があります。

これらの蓋は六郷用水の暗渠点検用として設置されたと考えられます。

【参考文献】
杉山宗次郎(東京府土木部橋梁課長): "丸子橋架設工事概要", 土木建築工事畫法, 第10巻第1号, pp.10-17(昭和9年1月)
"京濱府道二號線の竣成", 道路の改良, 第16巻第4号, pp.150(昭和9年3月)
"愈々完成した多摩川の丸子橋", 土木建築工事畫法, 第11巻第2号, pp.84-87(昭和10年2月)
"丸子橋架設工事の大要", 土木建築工事畫法, 第11巻第6号, pp.317-321(昭和10年6月)
"東京府神奈川縣丸子橋竣功式擧行の概況", 道路の改良, 第17巻第6号, pp.146-149(昭和10年6月)
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