東急百貨店東横店東館閉館
昭和9年(1934年)11月1日、東京橫濱電鐵が澁谷駅に建設していた地上7階建ての東橫ビルが竣工し、関東初の鉄道会社直営の百貨店となる東橫百貨店が開店しました。このとき建てられたのは、宮益坂(渋谷区特別区道第1047号路線・東京都市計画道路幹線街路放射第4号線)と東京地下鉄銀座線に挟まれた部分でした。
その後、昭和13年(1938年)に増築され現在の姿になりました。
澁谷東横百貨店では高速鐵道工事と相俟つて目下擴張工事を進めてゐる。高速鐵道は此增築部分の3階を抜けるもので、寫眞で見るとコンクリートの出來上つた部分が2階で、其上が高速鐵道の線路になる譯である。
東橫ビルの竣工当時、関東の駅ビルには、
- 京王電氣軌道新宿ビルディング
- 昭和2年10月28日竣工
- 地上6階
- テナント: 新宿松屋
- 東武鐵道淺草雷門駅ビルディング
- 昭和6年11月1日竣工
- 地上7階・地下1階
- テナント: 淺草松屋
がありました。
昭和25年(1950年)の東横百貨店池袋店の開店に伴い、東横百貨店渋谷店となりました。昭和33年(1958年)8月1日、株式会社東横百貨店が株式会社白木屋に吸収合併され、社名が株式会社東横に変わりました。昭和42年(1967年)9月22日に社名が株式会社東急百貨店に変更されたのを機に、東急百貨店東横店になりました。
東館は渋谷川を跨ぐように建てられいるため、地下階を設けることができませんでした。このため後年設置された1階のエスカレータは、数段の階段ないしはスロープを介した上げ床構造にすることで床下機器を埋設していました。
東館と西館を結ぶ1階の連絡通路は、玉川電気鉄道天現寺線が省線山手線を潜っていた線路跡を利用したものです。この通路に面した場所で、「東横のれん街」が昭和26年(1951年)10月27日から営業していましたが、東館の閉館に伴い渋谷マークシティEAST MALLの地下1階に移転し、4月4日(木)にオープンしました。
跡地は先日廃駅となった東横線渋谷駅用地と併せて再開発される予定です。
- 【参考文献】
- "東橫百貨店", 土木建築工事畫法, 第10巻第11号, pp.216-217(昭和9年11月)
- "東横百貨店增築工事", 土木建築工事畫法, 第14巻第6号, p.277(昭和13年6月)
- "澁谷驛連絡玉電ビル基礎工事", 土木建築工事畫法, 第14巻第6号, pp.278-281(昭和13年6月)
- 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館 『開館記念特別展「ハチ公の見た渋谷」展』 2005年7月9日
- 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館 『「春の小川」が流れた街・渋谷 -川が映し出す地域史-』 2008年9月29日
- 斯波武編纂 『京王電車囘顧二十年』 昭和5年
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