笄川の燈光蓋
日本赤十字社医療センターから下ってくる堀田坂より下流部分は渋谷区と港区の境界となっています。昭和7年(1932年)10月1日以前は豐多摩郡澁谷町と東京市麻布區との境になっていました。右の地図の久邇宮邸や福田會育兒院(現:福田会東京本院・宮代学園)の脇の二点鎖線が境界で、東側が麻布區になります。
大正12年(1923年)3月に東京市下水課は笄川の下水道幹線化を計画しました。そして堀田坂~広尾橋間が昭和8年(1933年)、広尾橋~天現寺橋間が昭和12年(1937年)に暗渠化されました。下水道台帳には幅3.11m、高さ2.42mのRC構造の矩形渠である青山幹線として記載されています。
渋谷区広尾4丁目のオマーン国大使館近くの笄川暗渠に東京市の燈孔蓋が1枚残っています。この蓋は下水道台帳に燈孔として記載されています。蓋は相当磨耗していますが、旧文部省庁舎前の燈孔蓋と同型です。この蓋が設置されたのは笄川の暗渠化時と考えられます。
- 【参考文献】
- 東京市下水道課 『東京市下水道計畫平面圖』 大正12年3月
- 渋谷区教育委員会 『渋谷の橋』 平成8年9月30日
- 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館 『「春の小川」が流れた街・渋谷 -川が映し出す地域史-』 2008年9月29日
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