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旧万世橋駅前の逓信省マンホール

風景

明治45年(1912年)4月1日、鐵道院中央本線の萬世橋駅が開業しました。駅は神田川に架かる國道五號(現:中央通り、国道17号・東京都市計画道路幹線街路放射第28号)の橋である萬世橋の袂にありました。

駅舎は辰野金吾氏設計の赤煉瓦造駅舎で、駅前は東京市電の路線が集まる交通の要所でした。

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駅舎

大正8年(1919年)3月1日の萬世橋~東京間開通に伴い中間駅になりました。その後、大正12年(1923年)9月1日の関東大震災で駅舎が焼失し、震災復興計画により現在の中央通りと靖国通りが開通し、市電が駅前を通らなくなってしまいました。

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駅舎

昭和11年(1936年)4月25日に東京駅にあった鐵道愽物舘(→交通博物館)が移転してきたことで、駅舎が博物館併設の形になりました。そして昭和18年(1943年)11月1日、駅の営業が休止になりました。

駅跡

駅跡

2006年5月14日に交通博物館が閉館になりました。その跡地にはJR神田万世橋ビルが建設され、2013年1月に竣工しました。また、万世橋駅のホームと階段遺構が整備され、2013年9月14日にmAAch ecute神田万世橋が開業しました。

階段遺構には、駅開業時からの「1912階段」と鉄道博物館開館時に設けられた「1935階段」があります。「1912階段」の説明板には、

旧万世橋駅 1912階段

1912年(明治45年)4月、万世橋駅開業の時に作られた階段で、鉄道博物館(後の交通博物館)開館から1943(昭和18)年の駅休止までは、ホームから直接入館できる特別来館口でした。

階段は花崗岩や稲田石を削りだした重厚なものですが、踊り場は当時の新素材であるコンクリートが使われ、壁面のタイルも、覆輪目地(ふくりんめじ)という高級な施工がされているのも特徴です。

「1935階段」の説明版には、

旧万世橋駅 1935階段

鉄道博物館(後の交通博物館)新館が建設された際、駅の縮小に合わせ1935(昭和10)年に作られた階段で、1943(昭和18)年の駅休止までの間、万世橋駅の階段として使用されました。

階段の表面はコンクリートで、壁面のタイル目地も平目地になり、駅開業時に設置された階段とは仕上げが異なっています。

と書かれています。

1912階段 1935階段 1935階段

E233系

駅跡

中央線の上下線間に挟まれているホームの遺構は「2013プラットホーム」として整備され、展望デッキやカフェが設置されました。ここには、「1912階段」か「1935階段」で上がることができます。

風景

manhole

この旧万世橋駅前に逓信省のマンホールが残っています。蓋は相当磨耗していますが、地紋は二の字模様で、中央部に逓信省徽章である〒と右書きで「話電」の文字が確認できます。

この蓋も萬世橋駅の遺構といっていいのかもしれません。

【参考文献】
鐵道省東京改良事務所 『市街高架線東京萬世橋間建設紀要』 大正9年7月30日
鐵道博物館 『鐵道博物館要覧』 昭和11年4月24日
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