九星の計算【1】
九星は
- 一から九までの数
- 白、黒、碧、緑、黄、赤、紫の七色
- 木、火、土、金、水の五行(五星)
を組み合わせ、
- 一白水星
- 二黒土星
- 三碧木星
- 四緑木星
- 五黄土星
- 六白金星
- 七赤金星
- 八白土星
- 九紫火星
としたものです。
九星は年・月・日・時刻に配当され、それぞれ年家九星、月家九星、日家九星、時家九星と呼ばれます。配当の方法には一白水星から九紫火星まで1ずつ増加し一白水星に戻る陽遁と、九紫火星から一白水星まで1ずつ減じ九紫火星に戻る陰遁の2種類があります。また、年・月・日・時刻には干支も配当されていますので、九星と干支が一致する周期は9と60の最小公倍数である180になります。
九星は暦法というよりは占術に属するもので、江戸時代までの暦には記載されていませんでした。しかし、明治5年11月9日(1872年12月9日)の太政官布告第337号「太陰暦ヲ廢シ太陽暦ヲ頒行ス」で迷信的暦注が実質上禁止されたため、「お化け暦」が出回るようになり、六曜とともに九星が掲載されるようになりました。ところが、九星の配当は占術の流派により異なっていますので、食い違いが生じることもあります。
九星の日への配当は流派により異なりますが、冬至に近い甲子の日から180日間は陽遁で配当し、夏至に一番近い甲子の日から180日間は陰遁で配当する方法が一般的です。ところが1太陽年は365.2422日で、360日間で陽遁と陰遁を繰り返すとその差が累積されていきます。この差が干支1周期分である60日に達するのは、
[年]
になります。このため九星の閏を11~12年に1回挿入する必要があります。閏の処理方法としては、60日間を陽遁と陰遁で各30日ずつ折半し、陽遁→陰遁(夏至近傍)では三碧木星、陰遁→陽遁(冬至近傍)では七赤金星で折り返す方法が多く見られます。この閏の挿入のタイミングは流派により異なりますが、主なものとしては、
- 冬至・夏至に直近の甲子日の間隔が240日になるとき、最後の60日間を閏とする
- 冬至・夏至が癸巳・甲午・乙未のときを閏とし、甲午で折り返す
- おおよそ11.5年(正確には11.445576...年)で60日のずれが生じるので、閏を11.5年間隔で夏と冬の交互に置く
があります。このうち、3の方法では1回の閏で過剰に補正をしてしまいますので、どこかで11年間隔を入れないとずれが生じてしまいます。そこで、11.5年間隔の回数をとした方程式
を解きますと(回)となりますので、約100年に1回は夏閏→夏閏もしくは冬閏→冬閏としなくてはならなくなります。 (続く...)
- 【参考文献】
- 岡田芳朗、阿久根末忠 『現代こよみ読み解き事典』 柏書房 1993年3月10日
- 岡田芳朗 『旧暦読本 現代に生きる「こよみ」の知恵』 創元社 2006年12月20日
- 【関連記事】
- 恵方と節分 (2015.02.03)
- 朔旦冬至 (2014.12.22)
- 暦関係の法令 (2012.03.29)
- 旧暦2033年問題【2】 (2005.04.13)
- 旧暦2033年問題【1】 (2005.02.12)
| 固定リンク
「 天体・暦」カテゴリの記事
- 8年ぶりの中秋の名月(2021.09.22)
- 平成から令和へ(2019.04.30)
- 小寒の部分日食(2019.01.06)
- 火星大接近(2018.07.31)
- 21世紀最長の皆既月食(2018.07.28)