新水道橋架道橋
このうち、緩行線の架道橋が新水道橋架道橋で、4径間の下路式プレートガーダー橋です。
新宿方の3連の橋桁には、「HARKORT. DUISBURG-GERMANY. 1904.」、「供給者 支那及日本貿易商會 横濱八十九番」と記された2枚の銘板が確認できます。しかし、御茶ノ水方の1連には銘板がなく、橋桁の形状も異なり、橋脚も急行線と一体化されたコンクリート製となっています。
中央線のこの区間は明治37年(1904年)12月31日に開業していますが、これについて、明治38年(1905年)1月12日の官報には以下のように書かれています。
電車運輸開始
昨三十七年十二月二十八日甲武鐵道株式會社線飯田町、御茶ノ水間電車運輸開始ヲ許可セシニ同三十一日開始ノ旨届出テタリ其哩數左ノ如シ(遞信省)
飯田町、御茶ノ水 〇哩八
そして、明治39年(1906年)10月1日の官報には水道橋駅開業の記事が出ています。
停車場設置
甲武鐵道株式會社線千駄ヶ谷新宿間ニ設置シタル代々木電車停車場ハ去月二十三日ヨリ、飯田町御茶水間ニ設置シタル水道橋電車停車場ハ同二十四日ヨリ孰モ營業開始ノ旨同會社ヨリ届出テタリ其哩數左ノ如シ(遞信省)
千駄ヶ谷、代々木間 〇哩六 代々木、新宿間 〇哩五
飯田町、水道橋間 〇哩三 水道橋、御茶水間 〇哩五
新水道橋架道橋の新宿方3連は甲武鉄道時代のもので、真中が車道、両側が歩道を跨いでいました。そして、昭和46年(1971年)に白山通りの拡幅のため、御茶ノ水方にコンクリート橋脚を建て1連増設されています。
- 【参考文献】
- "電車運輸開始"", 官報, 第6458號, p.247(明治38年1月12日)
- "停車場設置", 官報, 第6978號, p.14(明治39年10月1日)
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