徐行標識と蟹沢支流
徐行は、道路交通法 (昭和35年6月25日法律105号) の第2条第1項第20号で以下のように定義されています。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
[中略]
二十 徐行 車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。
[以下略]
車両が徐行すべき場所や状況は、道路交通法第42条で定められています。
(徐行すべき場所)
第四十二条 車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。
一 左右の見とおしがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通行しようとするとき(当該交差点において交通整理が行なわれている場合及び優先道路を通行している場合を除く。)。
二 道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾配の急な下り坂を通行するとき。
また、以下の場所や状況下でも徐行をしなければならないと定められています。
- 歩行者専用道路を許可を受けて通行するとき (第9条)
- 歩行者等との間に安全な間隔がとれないとき (第18条)
- 道路外に出るための右左折時 (第25条)
- 安全地帯もしくは1.5m以上の間隔を保つことができる場所で停車中の路面電車の側方通過時 (第31条)
- 交差点での右左折時 (第34条)
- 環状交差点の通行時 (第35条の2)
- 優先道路や道幅の広い道路への進入時 (第36条)
- 緊急自動車が法令の規定で停止しなければならない場所を通過するとき (第39条)
- 普通自転車の歩道通行時 (第63条の4)
- ぬかるみや水たまりの場所 (第71条第1項第1号)
- 子供・身体障害者・高齢者が通行しているとき (第71条第1項第2号、第2の2号)
- 停車・乗降中の通学通園バスの側方通過時 (第71条第1項第2の3号)
- 歩行者がいる安全地帯の側方通過時 (第71条第1項第3号)
徐行標識は、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 (昭和35年総理府・建設省令第3号、以下標識命令)で、白地に赤の縁取りの逆三角形に「徐行」と記したものと規定されていました。
そして、平成29年内閣府・国土交通省令第3号 (平成29年4月21日公布、7月1日施行) で英字 "SLOW" を併記した徐行標識が新設されました。同様に一時停止の標識にも "STOP" の文字が併記されることになりました。
徐行標識は企業や商業施設などの敷地内では比較的見かけますが、公道ではあまり見かけません。日本経済新聞の2017年7月1日付の記事に徐行と一時停止の標識の枚数が書かれています。
英語併記の新標識お目見え 一時停止に「STOP」
[中略]
警察庁によると、全国には一時停止の標識が約170万カ所、徐行は約千カ所ある。設置から十数年の更新時期を迎えたものから交換する。
[以下略]
調布市入間町の国分寺崖線を下る坂道 (標高差11m、勾配15%) に徐行標識が坂上に2枚、坂下に3枚設置されています。このうち坂下の1枚が従来型で、他の4枚は昨年10月に更新された英字併記のものとなっています。
坂の下は蟹沢の谷の谷底となっており、坂道に平行に寄り添う細い道は野川(一級河川・多摩川水系多摩川支流)の支流である (仮称)蟹沢支流の川跡で、調布市立入間公園を経て野川につながっています。
地形図は東京地形地図 on Google Earthの出力結果に地名等を加筆して作成しました。
- 【参考文献】
- 調布市教育委員会 『調布市文化財調査報告書 調布の古道・坂道・水路・橋』 平成13年12月10日
- 【関連記事】
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