滝坂道と日本水道の水道章標
豪徳寺1丁目と宮坂2丁目の滝坂道は平成19年度に世田谷区の地域風景資産に認定されています。滝坂道を紹介する掲示板が豪徳寺1丁目の地蔵堂の近くに設置されています。
地域風景資産 古道・瀧坂道
この道は瀧坂道です。瀧坂道は世田谷を縦断している古道です。東は江戸(青山)、西はかつての武蔵国の国府があった府中に繋がっています。江戸時代初期に甲州街道が開設される以前はこの瀧坂道が江戸と府中を結ぶ一番重要な往還でした。往還とは街道のことです。現在の瀧坂道を東からやってくると、豪徳寺一丁目に入るところ(松原宿)で左に90°曲がり、S字をかいた後今度は右に90°曲がり、小さなS字をかいた後経堂のほうへ行くことになります。この2回の折れ曲がりと2箇所のS字カーブがあるということは世田谷の中世の歴史に大きい関わりがあります。足利尊氏と祖を同じくする吉良氏は14世紀後半から16世紀終わりまで約220年間世田谷を領国としました。その城址は現在の豪徳寺の寺域とその周囲の付属地を含む一帯の区域と考えられています。
吉良氏がここに居館を設けた理由の一つに交通の便があります。つまり西では府中に、東では青山に通じる瀧坂道に接し、南では溝ノ口を経て矢倉沢の関所に通じる矢倉沢往還(大山道)に出られる場所だったからです。二つめの理由は防衛上のものです。世田谷城のあった所は高台になっていました。北の方には北沢川という湿地帯があり、南の方は烏山川が流れ湿地帯になっていました。東からの侵入に備え、城の東方約3kmの所、二つの川の合流点近くに多聞寺砦という出城を置き、西からの侵入に備えては、常徳院・世田谷八幡・勝光院・大吉寺・円光院・勝国寺・杓子稲荷等の社寺を並べました。瀧坂道が松原宿で鍵の手に曲がっているのも、S字カーブがあるのも防衛が目的で吉良氏によって整備されたと考えられています。
古道・瀧坂道は平成19年度に世田谷区の地域風景資産に選定されました。
2011年12月 豪徳寺駅周辺風景づくりの会
地蔵堂と玉電宮ノ坂駅の間に建つ昭和初期築の古民家に日本水道株式會社の水道章標が残っています。池ノ上にある水道章標より鮮明で、社章と「專用栓 12836」の文字が確認できます。
玉電宮ノ坂駅西の滝坂道沿いに建つ出桁造町家の宇田川精米店 / タバコ宇田川にも日本水道株式會社の水道章標が残っています。こちらも比較的鮮明に社章と「專用栓 5744」が確認できます。
世田谷線宮の坂駅の西にある宮前堂たばこ店は戦後築のため、日本水道株式會社の水道章標はありません。
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- 【改訂】
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