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東京の2桁市内局番【8】

電電公社マンホール

(承前) 昭和27年(1952年)8月1日、電気通信省の電信電話事業を引き継ぐ形で日本電信電話公社が設立され、各電話局は地区電話局の下で分局化されました。また、東京・大阪・名古屋圏の短距離市外通話の自動即時化と加入者数の急増に伴う番号枯渇対策の検討が本格化しました。

地区電話局の誕生と分局化

局舎

電電公社設立間もない昭和27年9月11日に日本初のマルチユニット局である千代田電話局が開局しました。従来は電話局、局番、加入区域が1対1に対応しており、電話局の所在に係らず局番が異なれば加入区域が異なるというものでした。マルチユニット局では局内に複数の交換機を設置し、加入回線を局番により区域分割せずに収容しています。千代田局は4万端子・85000回線収容で建設されました。

昭和27年11月1日に電気通信省時代の電気通信管理所が地区電話局に改組され、各電話局は分局として再編されました。このとき神田局と駒込局の管轄が変わりました。

地区電話局一覧(昭和27年11月1日)
局名所在地分局備考
東京丸の内地区電話局千代田区大手町一丁目6丸の内、神田、千代田千代田局内
東京京橋地区電話局中央区日本橋人形町一丁目14築地、京橋、銀座、茅場兜
東京新宿地区電話局新宿区細工町22九段、淀橋四谷、中野、荻窪、松沢旧牛込局
東京港地区電話局港区田町九丁目11芝、三田、赤坂、渋谷、世田谷旧高輪局
東京大田地区電話局大田区入新井五丁目349大森、蒲田、池上、荏原、羽田、田園調布大森局内
東京台東地区電話局台東区仲御徒町三丁目12下谷、浅草、駒込下谷局内
東京豊島地区電話局豊島区西巣鴨一丁目3277王子、大塚、落合、板橋、赤羽、小石川
東京墨田地区電話局墨田区横網8本所、深川、城東

同じ敷地内にあった淀橋局と四谷局、茅場町局と兜町局がそれぞれ合併し、淀橋四谷分局と茅場兜分局になりました。この合併で局番や交換上の呼称は変わりませんでした。丸の内分局内の大手特別電話局は廃止され、大手局として再出発しました。

台東地区電話局は昭和29年1月18日に文京区湯島三組町79番地(現: 湯島3丁目15-2)に移転しました。

区画の変更

自動化された東京の周辺局から東京市内に電話をかけるときは頭に"0"を付加することが行われていました。これを国内通話であることを示す国内開放指定番号(国内プレフィックス)"0"として一般化することにしました。このとき、局番号の最上位桁に"0"が使えなくなるため、昭和28年5月から12月にかけて区画領域並びに番号の変更を実施し0区画をなくしました。

区画の変更
実施日局名旧区画新区画
S28.05.17大塚・小石川・赤羽・王子89
S28.10.18本所・深川・城東76
S28.12.13田園調布・大森・蒲田・羽田・池上・荏原07

区画変更と平行して、電話局の開局や王子・赤羽・田園調布各局の市内本編入、足立・葛飾・江戸川区の電話の市内編入が行われました。

開局・編入局一覧
局番号局名実施日所在地備考
02田園調布S28.10.01大田区田園調布三丁目336東京市内に本編入
26大手S27.11.01千代田区大手町二丁目4大手特別電話局を編入
27千代田S27.09.11千代田区大手町一丁目6開局
28東京二八S28.11.01千代田区大手町一丁目6千代田局内で開局
40青山S28.08.23港区赤坂青山北町四丁目1自動交換化して復旧
41第二世田谷S28.09.26世田谷区太子堂472世田谷局内で開局
65江戸川S28.11.08江戸川区東小松川五丁目603自動交換化して編入
69葛飾S28.07.01葛飾区本田町272東京市内に編入
88足立S28.07.01足立区千住仲町65東京市内に編入
90赤羽S28.10.01北区岩淵町二丁目260東京市内に本編入
91王子S28.10.01北区豊島町一丁目1東京市内に本編入
97池袋S28.10.11豊島区西巣鴨一丁目3277東京豊島地区電話局内で開局
99練馬S28.09.06練馬区豊玉北三丁目18自動交換化して編入

足立・葛飾・江戸川区の電話の市内編入に先立ち、電話局が統廃合されました。

周辺局の統廃合局一覧
局名統廃合日所在地備考
本田S28.04.01葛飾区本田町272葛飾新宿局を統合し葛飾局に改称
葛飾新宿S28.04.01葛飾区新宿一丁目3376本田局に統合・電報局は存続
六月町S28.08.01足立区六月町398足立局に統合・郵便局は存続
江戸川S28.11.08江戸川区東小松川三丁目3000東小松川五丁目603に移転
葛西S28.11.08江戸川区桑川町701江戸川局に統合・郵便局は存続
小岩S28.11.08江戸川区小岩町2丁目3172江戸川局に統合・閉局

区画変更後の局番は以下のようになりました。大分局番が埋まってきました。

区画変更後の局番号一覧(昭和28年12月31日)
区画0123456789
2和田倉(20)丸の内(23)日本橋(24)神田(25)大手(26)千代田(27)東京二八(28)
3松沢(32)九段(33)四谷(35)淀橋(37)中野(38)荻窪(39)
4青山(40)第二世田谷(41)世田谷(42)芝(43)三田(45)渋谷(46)赤坂(48)大崎(49)
5築地(55)京橋(56)銀座(57)霞ヶ関(58)
6本所(63)深川(64)江戸川(65)茅場町(66)兜町(67)城東(68)本田(69)
7田園調布(72)蒲田(73)羽田(74)池上(75)大森(76)荏原(78)
8駒込(82)下谷(83)浅草(84)根岸(87)足立(88)
9赤羽(90)王子(91)小石川(92)大塚(94)落合(95)板橋(96)池袋(97)練馬(99)

2桁局番・最後の増強

電話加入の需要が増大する中で、新規局の開局、周辺局の市内編入や既存局の局番増設が進められました。

霞ヶ関局は築地局だけではなく千代田局と東銀座局の設備を使って仮開局しました。淀橋局の局番号が37から34に変わったのは、局番号37を新宿局に収容換えではなく新たに付与するためだったと考えられます。その1年後の昭和30年9月1日に新宿局が設置(開局は同月18日)され、淀橋四谷局が四谷局に改称されました。

局舎

玉川局は移転し、世田谷局と田園調布局の加入区域の一部を加えて市内に編入されました。砧局は移転の上、世田谷41局の加入者番号7000~9999を使用する従局として編入されました。石神井局は移転せずに練馬99局加入者番号7000~8999を使用する従局として編入されました。

羽田局の所在地は昭和30年頃の地番改正により大田区萩中町662番地から302番地に変更されました。

開局・編入局・増設等一覧
局番号局名実施日所在地備考
222天気予報S29.09.22千代田区大手町一丁目6千代田局5階で開始
223時報S30.06.10千代田区大手町一丁目6千代田局5階で開始
29千代田S29.04.18千代田区大手町一丁目6増設
30九段S31.06.25千代田区九段三丁目2-8増設
34淀橋S29.02.28新宿区四谷四丁目12-2局番37から変更
36新宿S30.09.18新宿区柏木三丁目349開局
37新宿S30.09.18新宿区柏木三丁目349開局(淀橋局の旧局番号)
41S29.05.01世田谷区喜多見町118自動交換化して編入
成城町358から移転
44白金S31.07.15港区芝白金台町二丁目69-4開局、最後の2桁局番局
50霞ヶ関ⅢS31.01.17中央区銀座東三丁目17東銀座局内で仮開局
54東銀座S30.07.01中央区銀座東三丁目17開局
59霞ヶ関ⅡS29.05.05千代田区大手町一丁目6千代田局内で仮開局
70玉川S31.03.01世田谷区玉川中町二丁目94自動交換化して移転編入
80荒川S31.06.25荒川区三河島二丁目2566増設
85浜町S31.02.19中央区日本橋矢ノ倉13-1開局
89荒川S30.09.04荒川区三河島二丁目2566S29.10.01駒込局内で仮開局
99石神井S29.05.09練馬区下石神井二丁目1217自動交換化して編入
-千歳烏山S29.09.12世田谷区烏山町624松沢局に合併・郵便局は存続

最後の2桁局番号を付与された白金局が昭和31年7月15日に63番目の局として開局しました。

最後の2桁局・白金局開局時の局番号一覧(昭和31年7月15日)
区画0123456789
2和田倉(20)天気/時報(22)丸の内(23)日本橋(24)神田(25)大手(26)千代田Ⅰ(27)千代田Ⅱ(28)千代田Ⅲ(29)
3九段Ⅱ(30)松沢(32)九段Ⅰ(33)淀橋(34)四谷(35)新宿Ⅱ(36)新宿Ⅰ(37)中野(38)荻窪(39)
4青山(40)第二世田谷(41)世田谷(42)芝(43)白金(44)三田(45)渋谷(46)赤坂(48)大崎(49)
5霞ヶ関Ⅲ(50)東銀座(54)築地(55)京橋(56)銀座(57)霞ヶ関Ⅰ(58)霞ヶ関Ⅱ(59)
6本所(63)深川(64)江戸川(65)茅場町(66)兜町(67)城東(68)葛飾(69)
7玉川(70)田園調布(72)蒲田(73)羽田(74)池上(75)大森(76)荏原(78)
8荒川Ⅱ(80)駒込(82)下谷(83)浅草(84)浜町(85)根岸(87)足立(88)荒川Ⅰ(89)
9赤羽(90)王子(91)小石川(92)大塚(94)落合(95)板橋(96)池袋(97)練馬(99)

この12日後の7月28日には初の3桁局番となる"328"が松沢局で始まりました。

(続く)

【東京の2桁市内局番】
東京の2桁市内局番【1】: 局番なしの時代
東京の2桁市内局番【2】: 震災と自動交換方式の採用
東京の2桁市内局番【3】: 震災復興期
東京の2桁市内局番【4】: 隣接5郡の電話
東京の2桁市内局番【5】: 東京市域拡大
東京の2桁市内局番【6】: 戦災から郵電分離まで
東京の2桁市内局番【7】: 電気通信省
東京の2桁市内局番【8】: 3桁局番誕生前夜
東京の2桁市内局番【9】: 3桁局番併用そして終焉

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