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完全数の日

ICF6800

6月28日は「完全数の日」でした。これは、6と28がともに数論における完全数 (en: perfect number) と呼ばれる数であることに由来しています。

定義

完全数とは、自分自身を除く正の約数の和が自分自身と等しくなる自然数のことで、古代ギリシアでは、6、28、496、8128の4個が知られていました。

6
= 1 + 2 + 3
28
= 1 + 2 + 4 + 7 + 14
496
= 1 + 2 + 4 + 8 + 16 + 31 + 62 + 124 + 248
8128
= 1 + 2 + 4 + 8 + 16 + 32 + 64 + 127 + 254 + 508 + 1016 + 2032 + 4064

数論では「正の約数の総和が自分自身の2倍に等しい」と定義されていて、1次の約数関数σ1(N)に対して、σ1(N)=2Nが成り立つNが完全数になります。

メルセンヌ素数との関係

古代ギリシアの数学者であるユークリッド (古代ギリシア語: Εὐκλείδης, en: Euclid) は、『原論 (古代ギリシア語: Στοιχεῖα, en: Elements) 』の中で、以下の定理を証明しました。

2n1が素数ならば、2n1(2n1)は完全数である。

ここで、2n1メルセンヌ数 (en: Mersenne number) Mn といい、nビットの2進数の全桁が1である数になります。Mn=2n1 が素数ならば、n もまた素数になりますが、その逆は成立しません(M11=2047=23×89)。 素数であるメルセンヌ数をメルセンヌ素数 (en: Mersenne prime) といいます。完全数の最初の4個をメルセンヌ素数で表すと次のようになります。

6
= 221×M2=2×3 (n=2)
28
= 231×M3=4×7 (n=3)
496
= 251×M5=16×31 (n=5)
8128
= 271×M7=64×127 (n=7)

自然数の和

完全数 N は、1からメルセンヌ素数Mp=2p1までの自然数の和で表すことができます。即ち N2p1番目の三角数になります。

N=i=12p1i

6
= 1 + 2 + 3 (p=2)
28
= 1 + 2 + 3 + 4 + 5+ 6 + 7 (p=3)
496
= 1 + 2 + 3 + … + 29 + 30 + 31 (p=5)
8128
= 1 + 2 + 3 + … + 125 + 126 + 127 (p=7)

完全数の個数

現時点で完全数はメルセンヌ素数と同じ51個まで知られていて、小さい順に、6, 28, 496, 8128, 33550336, 8589869056, 137438691328, 2305843008139952128, … となっています。

パフェの日

74年前の昭和25年(1950年)6月28日に青森市営野球場で行われた東京讀賣巨人軍と西日本パイレーツ(現: 西武ライオンズ)の試合で、巨人の藤本英雄投手が投球数96球で日本初の完全試合 (en: perfect game)を達成したことにちなんで「パフェの日」とも呼ばれています。

日本のプロ野球 (NPB) では、1人の投手が9イニング (en: inning) 以上を投げて、相手チームの打者を安打、四死球や失策などで一度も出塁させずに勝利した試合を完全試合と定義しています。

【参考文献】
The On-Line Encyclopedia of Integer Sequences (ja: オンライン整数列大辞典): "A000396 - Perfect numbers k" (2024年6月30日閲覧)
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