八幡前駅と武蔵国府八幡宮
駅は律令時代からの古道である人見街道との交差箇所に設けられました。地図で甲州街道から駅横を通り北東方向へ向う道が人見街道です。昭和15年 (1940年) 5月の帝國陸軍燃料廠の開設により踏切から北側が分断されました。戦後、米軍府中基地 (2021年9月30日完全返還) と航空自衛隊府中基地となりました。
昭和8年11月8日の東京競馬場開設により、昭和10年11月12日に現在の東府中駅の場所に臨時競馬場前駅が開設されました。昭和12年9月1日に八幡前が東府中に改称、昭和15年10月26日に東府中を臨時競馬場前に移設・統合したことで現在の東府中駅が誕生しました。
大正12年5月1日の複線化後のホーム配置は、軌道路線で多く見られる踏切を挟んだ千鳥式であったと考えられます。下りホーム跡は東府中3号踏切の東側に空き地として残っています。
上りホーム跡は側道に組み込まれてしまい、痕跡は残っていません。この近くにはドン・キホーテの1号店として1989年3月に開店したドン・キホーテ府中店が盛業中です。
八幡前駅の南2丁 (約220m) には駅名の由来となった武蔵國府八幡宮が鎮座しています。創建は第45代聖武天皇の御代と云われています。旧甲州街道 (東京都道229号府中調布線) に面して明治44年 (1911年) 8月建之の一の鳥居、「武藏國府八幡宫」の石碑および石灯籠があります。
一の鳥居から100m程南の京王競馬場線4号踏切の先には二の鳥居と「武蔵國府八幡宮」の石碑があります。これらは昭和30年 (1955年) 4月29日開業の競馬場線が参道を横切ることになったことから、京王帝都電鉄が寄進したものです。
二の鳥居の先にある神門は大國魂神社の随神門 (明治31年建立) を2011年に移築したものです。三の鳥居と拝殿は国府の守護神であることから、国衙の方角である西向きとなっています。
國府八幡宮の南側を通る八幡道も甲州街道開設前からの古道で、西は京所道を通り大國魂神社を経て甲州方面、東は品川道や筏道を経て品川湊までつながっていた古甲州街道の一部でした。
- 【参考】聖武天皇
- 生誕
- 大宝元年8月12日 (701年9月18日)
- 立太子
- 和銅7年6月25日 (714年8月9日)
- 即位
- 神亀元年2月4日 (724年3月3日)
- 譲位
- 天平勝宝元年7月2日 (749年8月19日)
- 崩御
- 天平勝宝8歳5月2日 (756年6月8日)
- 【参考文献】
- 京王電気軌道、金子常光『京王・玉南鐵道 沿線案内』大正13年12月5日
- 田鍋一二事務所編纂 『京王電車囘顧十五年』 大正15年1月20日
- 斯波武編纂『京王電車囘顧二十年』昭和5年
- 京王電気軌道株式会社『京王電氣軌道株式會社三十年史』昭和16年2月20日
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