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久しぶりの皆既月食

皆既月食 部分月食

9月8日(月)の未明に皆既月食がありました。欠け初めから欠け終わりまでのほぼ全過程を観測することができた皆既月食としては2022年11月8日の皆既月食 (Saros 136) 以来2年10ヶ月ぶりでした。

PlanetMate PlanetMate

この間、日本で観測できた月食としては2023年10月29日明け方の部分月食 (Saros 146) と2025年3月14日の皆既月食 (Saros 123) がありました。後者は一部地域で皆既食後の部分食状態の月出帯食が見られ、東京では環八以東で見られました。

皆既月食 PlanetMate

今回の皆既月食は9月10日21時10分の近地点通過(視半径16′23″)の2.75日前でしたので、月の視半径が16′10″と比較的大きくなりました。皆既時の明るさは相当暗く、ダンジョンスケール (Danjon scale) は1相当と見受けられました。

インドネシア・フローレス島 (インドネシア語: Pulau Flores) のレウォトビ山 (インドネシア語: Gunung Lewotobi, 1703m) で7月7日12時10分頃のVEI 4の大規模噴火も含めた噴火が頻発していることと、7月30日8時24分52秒に発生したカムチャツカ半島 (露: Полуостров Камчатка) 南東沖地震 (Mw 8.8) に誘発されたクリュチェフスカヤ山 (露: Ключевская сопка, 4835m) やクラシェニンニコフ火山 (露: Вулкан Крашенинникова, 1856m)、アヴァチンスカヤ山 (露: Авачинская сопка, 2741m) 等カムチャツカ半島の7座の火山が噴火したことで、これらによる噴出物エアロゾルの影響で暗くなった可能性があります。

ターコイズフリンジ

また、皆既食直前に本影の縁付近に青色光の成分が重畳される「ターコイズフリンジ (turquoise fringe)」も観測されました。

国立天文台によりますと、今回の食の推移等は下表の通りで、食甚時の食分は1.367でした。 東京では半影食の月没帯食となりました。

9月8日の皆既月食(Saros 128)
時刻 状況
00:26.9 半影食開始
01:26.8 本影食開始 (第1接触)
02:30.4 皆既食開始 (第2接触)
03:08.8
03:11.8 食の最大 (食甚)
03:53.2 皆既食終了 (第3接触)
04:45 夜明 (東京、太陽伏角7°21′40″)
04:56.9 本影食終了 (第4接触)
05:17.6 日出 (東京)
05:27.7 月没 (東京)
05:56.6 半影食終了
部分月食 部分月食

今回の皆既月食は月食Saros 128 (嘉元2年5月15日・JC1304年6月18日~2566年8月2日) に属していて、全月食71回中の41番目で、皆既月食としては15回中の第11回目でした。

Lunar Saros 128
期間 回数 種類
1304.06.18~1412.08.22 7 半影
1430.09.02~1827.05.11 23 部分
1845.05.22~2097.10.21 15 皆既
2115.11.02~2440.05.17 19 部分
2458.05.29~2566.08.02 7 半影
半影月食 PlanetMate

次回の月食は2026年3月3日夕方に起こる皆既月食 (Saros 133、食分1.158) で、関西以東では全過程が観測できますが、以西では半影食での月出帯食となります。写真は今回の月食の半影食で、本影に近い上側が僅かに暗くなっています。

本記事中の月食のSaros一覧
No. 初回 最終 寿命(年) 回数 半影 部分 皆既 部分 半影
123 1087.08.17 2367.10.09 1280.14 72 24 6 25 8 9
128 1304.06.18 2566.08.02 1262.11 71 7 23 15 19 7
133 1557.05.13 2819.06.29 1262.11 71 7 13 21 20 10
136 1680.04.13 2960.06.01 1280.14 72 8 7 27 8 22
146 1843.07.12 3123.08.29 1280.14 72 9 20 17 19 7
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